カルチャーショック-湯船のはなし - 記事一覧 | APU 立命館アジア太平洋大学

カルチャーショック-湯船のはなし

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カルチャーショック-湯船のはなし

カルチャーショック。それは慣れない国や環境で突如遭遇する出来事に対する驚きである。というのは、大きな誤解です。

もしもみなさんが初めて触れる文化に驚いたとしても、それはカルチャーショックではありません。それは単なる驚きであり、数分か数時間も経てば消えてしまうでしょう。多くの国際学生(もちろん私も)が直面しているカルチャーショックとは、もっと違うものなのです。

具体的に言うと、カルチャーショックとは、自分の国とは別の国で数ヶ月暮らしているうちにゆっくりと気付かされるものなのです。国際学生がここで過ごす時間は1ヶ月や2ヶ月ではありません。すると、あるとき突然ホームシックにかかります。学生寮やサークルの親しい友人たちの輪から一歩離れると、上手くコミュニケーションが取れないことに気付きます。日々の生活の小さなことにも敏感になるかもしれません。

カルチャーショックによる疲労感は、慣れない文化のルールや微妙な違いにより疎外感を感じることから生まれます。まず、自分の行動について考え始めます。失敗を恐れ、自分のアイデンティティを失うことを恐れ、自分の日課を変えるよう強いられることを恐れるからです。しかし、ある日私は、今までの考え方に固執するべきではないと思うようになりました。今までのルールは今の私には合わないということに気付いたからです。ここは私にとって新しい国であり、私自身も新しい自分に生まれ変わらなければならない。私はとにかく恐れずになんでも新しいことに挑戦してみようと決心しました。この国の人たちがやっていることをこの国の人たちのやり方でやってみようと思ったのです。根本的に考え方を改め、自分を成長させることに目を向け始めた瞬間です。

こうして私は、裸で、それも知らない10人の裸の人と一緒に、大きな熱い湯船に浸かっている新しい自分を発見しました。

私の日本人のルームメイトは私に公共のお風呂や銭湯に行くようにと、何度も何度も勧めてきました。自然に湧き出たお湯を使ったものを温泉といいますが、特に日本の南側では温泉は一般的で、さらに日本有数の温泉地の中でも特に有名な場所がここ別府です。この街には8つのエリアに分かれて数百の源泉があり、お湯に浸かるということが人々の習慣に根付いているのです。日本のどの地域の人たちよりも別府市民にとって温泉は日々の生活にかかせないものであるといっても過言ではないと私は思います。

この日本の温泉文化を知らない人たちへ説明しますと、温泉に入りに行くとき、まず脱衣所で服を脱いでから、湯船がある浴室に水着なし(つまり裸)で入ります。家族、友人、他人、その場にいる誰かと一緒に入ることになります。心配しなくても、湯船は性別によって分かれています。しかし、浴室に入ることに勇気がいらなくなるまで、私は数週間かかりました。ここで知っておいてほしいのは、私が裸で他人と一緒にいるということが2年もしくは3年先までの恥だと考えられるような文化を背景に持つ国から来ているということです。18年ほどの時間をかけて培った習慣を破るのは簡単なことではありません。これが私の国ではどれほどの社会的タブーなのかを伝えることは難しいですが、うわさになればとても気まずく心落ち着かない生活になると考えていただければと思います。

では、その後どうなったのでしょうか?ようやく自分に言い聞かせ、思い切ってお風呂の脱衣所に入ったとき、私は衝撃を受けました。みんながみんな、平然とお風呂に入る準備をしていたのです。

実際のところ、私が完全に躊躇していた日本のお風呂場での習慣を、ここでは誰一人として気にしていないようでした。最初は身構えていましたが、お湯に浸かったときの気持ちよさとみんながくつろいでいる様子を見て、私もすぐにリラックスできました。お風呂に行くということは、「私が避けていたこと」から「やみつきになること」に変わったのです。自分ひとりでも一日おきにお風呂に行くようになり、彼らが何を話しているか分からなくても、こんにちはと挨拶するようになりました(たいてい笑顔で頷いてくれます。)。

知らない人であってもとてもフレンドリーで、彼らの文化に溶け込もうとする自分をみんな温かく見守ってくれます。

誠実に努力していれば、失敗しても大丈夫だということに気付かされました。慣れるのには時間がかかりますし、時々自分なりのやり方でやらなければならないこともあります。ただ、1日で、あるいは1週間や1ヶ月で変わることなど求められていません。自分のペースで進めば良いのです。誰も強要したりしませんし、みなさんがどうすると過ごしやすくて、どうすると過ごしにくいと感じるのかを周りの仲間に話してみてください。思い出してみてください、彼らもまた同じ境遇であるということを。先入観にとらわれず広い心でいてくださいね。

最後に、教訓は置いておいて、お風呂はぜひ試してみてください。絶対に。


  • APS(アジア太平洋学部)2回生でインドネシア出身のKilameida Irwantoroさんからの寄稿です。APUアドミッションズ・ソーシャル・メディア・ユニットの新しいメンバーで、このブログに定期的に寄稿してくれる予定です。Kilameidaさんの趣味は、体を鍛えることやアニメを見ること、街をぶらぶら歩いて写真を撮ることです。

    その他の情報に関しては、別府温泉のブログをご覧下さい。

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